完璧なあなたじゃなくていい!つらい時は助けを求めよう

すべて

人生は山あり谷あり、良いこともあれば悪いこともあるものです。

しかし、中には人生を悲観し、「何のために生きているのかわからない……」「生きている理由がない……」「消えてしまいたい……」と思っている方もいるでしょう。

特に現代においては、増税や物価高騰と併せて所得が上がらないスタグフレーションが長く続き、凶悪事件も増える中、世間では「自己責任論」が当たり前のように叫ばれるようになりました。また、SNSの発達と普及により、ネット上で罵詈雑言が飛び交い、お互いを監視し合うような息苦しさも増加しました。

ITの発達は、モバイルや高速回線、さまざまなシステムやアプリケーションなどとても便利なツールを提供してくれましたが、一方で大切な何かを人類から奪ってしまったのかもしれません。

今回は、そんな窮屈な社会に失望したり、人生に絶望したりしている方に向け、あなたが完璧である必要がない理由と、誰かに助けを求めるべき理由をご提案します。

あなたが苦しんでいる理由

悩みや苦しみの理由は人それぞれですが、とりわけ日本人には「自分自身に完璧を求めすぎている人」が多いといいます。

これは個々の性格によるというより、おそらく日本固有の文化によるものでしょう。

日本は昔から「和国」と呼ばれ、協調性・調和・謙虚さ・礼儀正しさ・勤勉さ・忍耐強さが重んじられてきました。こうしたものを大切にする背景から、恥の文化や空気を読む力、間を大切にする感覚、詫び錆びといった独特の感性が生まれたのです。

これらは、日本人の規律性や集団意識・帰属意識といった優れた社会性を育みましたが、一方で、同調圧力や、いじめや村八分のような“異質な者への排他性”、イノベーションの停滞、個性や多様性への抑圧といった弊害をも生んでいます。

特に経済が低迷している現代社会では、所得が上がりにくい反面、企業はより生産性の高い人材を求める傾向があります。これにより被雇用者にはより高度な技能が求められ、労働スキルの社会全体的な基準が底上げされています。

結果として、誰もが仕事をこなすのに必死で、経済的にも時間的にも精神的にも余裕がなく、人生が逼迫している状態の人々が増加しました。

一昔前であれば、1つのスキルを持っていればそれだけで褒められたり尊敬されたりしたものが、5つ程度のスキルを持っているのが当たり前とされるのが現代社会です。昔よりインフラが高度化し便利な世の中になりましたが、果たしてそこに生きる我々は幸福なのでしょうか?

さて、日本では全国的にひきこもり状態の人が増えています。2023年に発表された内閣府の調査「こども・若者の意識と生活に関する調査」によると、ひきこもり状態にある人は15~39歳で2.05%、40~64歳で2.02%おり、全国でおよそ146万人いるものと推計されています。

ダイバーシティやインクルーシブでは、発達障害者の生きづらさがテーマとなることも少なくありません。厚生労働省が2022年に発表した資料「精神疾患を有する総患者数の推移」では、うつ病やパニック障害、適応障害などメンタル的な疾患を抱える人が年々増加していることもわかります。

また、1997年時点で睡眠導入剤を服用している日本人の割合は7.4%で、およそ14人に1人が服用している結果でしたが、2022年には10.7%、およそ10人に1人が睡眠導入剤を服用しているという結果になっています。

こうしたさまざまな背景からわかるのは、それだけストレスに苦しむ人が増えているという現実に他なりません。

あなたの苦しみは「あなたの個人的な問題」ではなく、もはや日本社会全体の問題なのです。

生きづらい現代社会でやるべきこと

窮屈な社会でやるべきことはいくつかあります。たとえば、健やかな毎日を過ごすには、心身の良好なコンディションを維持する必要があります。そのためには、免疫機能を整えなければなりません。また、メンタルを上手に管理するための自己分析や思考整理も欠かせないでしょう。

それぞれの具体的な方法については、当サイトでさまざまな記事を配信していますが、今回は「助けを求めることの大切さ」にスポットライトを当てたいと思います。

というのも、先述したように日本人はもともと忍耐強く勤勉な国民性です。加えて、昨今は自己責任論が普及してもいます。こうした背景が原因で「SOSを出せない人」が多いのです。

日本人はなぜSOSを出さないのか

では、日本人にはなぜSOSを出せない人が多いのでしょうか。

その主な理由は次の通りです。

1.人に迷惑をかけてはいけないから

「和を以て貴しとなす(わをもってとうとしとなす)」という聖徳太子の言葉に象徴されるように、日本人は昔から「和」を大切にします。

「人に迷惑をかけてはいけない」というのは、いかにも協調性や調和、おもてなしの精神を重んじる日本人らしいマインドです。

確かに、こうした精神から生まれる社会性や秩序もありますが、一方で、こうした価値観に囚われ過ぎてしまうと、苦しい時に自分自身を追いつめてしまう危険性があります。

ちなみに、「人に迷惑をかけてはいけない」という精神は、本当に文字通り「日本人特有」の感性で、諸外国ではほとんど見られません。日本人ほど徹底して他者を尊重し和を重んじる姿勢は、台湾など一部のアジア地域や、欧米諸国の一部のエリートなど、世界的にごく一部の地域や層にしか見られないのが現実です。

「人に迷惑をかけてはいけません」という日本人の考え方と対称的に、インドでは「自分も他人に迷惑をかけているのだから、他人から迷惑をかけられても許してあげなさい」と考えます。また、沖縄(日本ではありますが)にも「ユイマール(助け合いの精神)」や「模合(地域の互助会)」といった互助の文化があります。

現実問題、誰にも迷惑をかけずに生きることなど不可能なのですから、時にはむしろ「人に迷惑をかけてはいけません」という常識の方を疑ってみることも大切です。

ちなみに筆者は、ある時から人に迷惑をかけるのを忌避することをやめました。そして、人に迷惑をかけてしまった時は、迷惑をかけてしまったことより、サポートに感謝することを強く意識するようになりました。

すると面白いことに、人に迷惑をかけてしまった自分の失敗が、むしろ誰かと信頼関係や絆を深めるきっかけになる機会が増えただけでなく、筆者自身も人の失敗を以前よりもずっと寛容に受け止められるようになったのです。

結果として、目に見えない足枷がようやく外れたように心が身軽になったのでした。QOLを高めるには必要なプロセスだったと感じています。

また、常識を捨てても意外と自分の行動は変わりませんし、そもそも誰かに「あなた、常識捨てた?」と問われるわけでもありません。常識を捨てるというのは「非常識に振る舞う」ということではなく、意識や考え方や物事の見方を変え、自分自身を呪いから解放してあげるということなのです。

2.恥ずかしいから

日本人にSOSを出せない人が多い2つ目の理由としてあげられるのが、「恥の文化」です。

「人に迷惑をかけてはいけません」と同じように、こちらも日本人的な呪いの一つといえます。しかし、呪いとは言っても悪いことばかりではありません。恥の文化だからこそマナー良く振る舞いますし規律もあります。「恥の文化」は日本人の社会性の高さの根幹とも言えますし、私たちはそれを誇りに思ってもいいでしょう。

しかし、その文化やその精神を、自分自身を苦しめてまで運用する必要はありません。そもそも、人に助けを求めることの何が恥ずかしいのでしょう。「そんなことで悩んでいるのか」「こんなこともできないのか」「甘えるな」「いつまでも半人前だ」と言われるのを恐れているのでしょうか?であれば、それは「いきすぎた完璧主義」としか言いようがありません。

確かに、自己責任論が蔓延った社会では、できない人を批判する声は少なくないでしょう。しかし、人間誰しも一長一短です。あなたに長所と短所があるように、あなたを批判する人にも長所と短所があります。お互いの短所を誰も責めることはできません。ですから、たとえ非難されたとしても、「この人は人間の本質をまだ理解していないのだな」と納得し、棘のある言葉を右から左に受け流しましょう。

人間誰しも完璧である必要はありませんし、完璧を目指す必要もありません。そもそも、完璧な人間などどこにもいないのです。完璧を目指して生きるのもいいですが、もしその完璧主義的な考え方が自分自身を苦しめているのであれば、その呪いを手放して、もっと心軽やかに生きてみてはいかがでしょうか?

3.自己犠牲と我慢の美徳

「清貧」や「詫び錆び」からもわかるように、日本人は我慢や忍耐に伴う精神の美しさを知る民族です。これもまた和の価値観に帰結しますが、利他的な献身こそ、昔ながらに日本人が模範としてきた日本人たる姿です。

狭い日本とはいえ、世代や境遇によって価値観は大きく違うものですが、こうした日本古来の価値観はすべての日本人に脈々と受け継がれています。

しかし、だからといって必ずしもあなたが自己犠牲的である必要はありません。私たちは利己的に生きるべきか、それとも利他的に生きるべきなのか。「幸運を引き寄せる「愛他主義的エゴイスト」とは」の記事が、その答えにヒントを与えてくれるかもしれません。興味のある方は併せてご覧ください。

幸運を引き寄せる「愛他主義的エゴイスト」とは
世の中には、さまざまな感性を持った人がいます。 自分勝手な人もいれば、博愛に生きる人もいます。自分勝手なように見えて実は慈愛の心に満ちた人もいれば、人懐っこく見えて実は独善的な人もいます。表面的に見えている表情や態度からはわからない「本質」...

人に助けを求めるべき理由

人に助けを求めると、それだけで心身のコンディションが整いやすくなり、問題が解決する確率が飛躍的に高まるだけでなく、生存率すらも上昇すると言ったらあなたは信じるでしょうか?

実はこれは、紛れもない歴史的・科学的事実です。

たとえば、アジア風邪に関連する研究において600人の被験者を対象に実施された調査では、うつ傾向にある人はそうでない人に比べ発病率が3倍も高くなることがわかりました。

HIVに関する同様の研究においても、まったく同じ調査結果が得られています。

こうした感染症リスクの中で生存した人々に共通するのが、「問題と前向きに向き合う姿勢」でした。発病率が低い人たちは誰かに助けを求めたり、信頼できる人に相談したりする一方、発病率が高かった人たちは現状に絶望しており、問題に対して受動的な姿勢でした。つまり、生き延びた人たちは「何とかなるはずだ」という希望を持っていたのです。

そして、その希望を与えてくれるのが、医師であったり、家族であったり、看護師であったり、友人であったりします。当サイトでは、このように“自分の抗体レベルを高める源となる人々”を「抗体源」と呼んでいます。抗体源にアクセスしたり増やしたりするのにもっとも必要なのが、「助けを求めること」なのです。

抗体源とは? 抗体源を増やして免疫力を高める方法を解説
免疫力の一種「抗体源」を増やして健康を守る秘訣を解説します。社会的支援やリラックス、気分良く過ごすことが、心身のコンディションを整える重要な要素です。ペットやコミュニティがもたらす影響、高齢者や感染症の具体例も交え、健康的なライフスタイルを実現するポイントを紹介します。

助けを求めることで何が起こるか

「助けを求める」という行為を、もう少し科学的に分析してみましょう。

まず、「助けを求めていない状態」では、不安や絶望感、無力感などからストレスホルモンが分泌されます。ストレスが軽ければ不眠や倦怠感程度の症状で済むかもしれませんが、これも慢性的になると危険です。さらに、ストレスが大きくなるとアドレナリンやノルアドレナリン、コルチゾールなどのストレスホルモンが分泌され、自律神経が乱れます。この状態が長期にわたって続くと心身のさまざまな機能に障害をきたし、精神疾患や心血管疾患などのリスクを高めます。

また、極端なケースでは、ショック症状から死に至る場合もあります。

ホルモンバランスや自律神経が乱れると、免疫システムの主役とも言うべき白血球の数が変化し、コンディションそのものを大きく左右します。言うまでもなく、このような状態が長く続けば続くほど心身は消耗し、さまざまな疾患リスクが高まります。

さて、次に「助けを求めた時」に、体の中で起こっていることを見てみましょう。

助けを求めると、それだけで「他人との会話」が生まれるはずです。たったこれだけで、脳内では幸福ホルモンとも呼ばれる「エンドルフィン」や「セロトニン」という神経伝達物質が分泌され、幸福な気分になります。さらに、「悩みごとを聞いてもらっている」「助けになってくれている」「解決策が見つかるかもしれない」「自分は一人じゃない」というさまざまな感情や期待感が、幸福ホルモンの分泌を促します。

この作用により、不安のせいで乱れていた自律神経が落ち着き、交感神経(緊張モード)から副交感神経(リラックスモード)へと切り替わります。心拍数・呼吸・血圧・筋肉の緊張も安定し、体がようやく「回復モード」にスイッチします。

緊張モードでは、胃腸など消化器官へのエネルギーリソースを減らしたがるのが人体のシステムです。リラックスモードにスイッチすることで、ようやく胃腸のコンディションを整えるシステムも再起動します。つまり、胃腸の調子が回復し、全身の免疫細胞の6~7割が集まっているといわれて腸内のコンディションが整いやすくなります。

さらに、誰かに助けを求めることで、その人への信頼感や期待感が高まったり、絆が深まったり、情愛が芽生えたりすることもあるでしょう。こうした感情は、快感や多幸感をもたらす神経伝達物質「ドーパミン」や、愛情ホルモンとも呼ばれる「オキシトシン」の分泌を促します。

これらのホルモンはストレス物質を減少させ、免疫機能の調整や心身のダメージの回復を促進します。

いかがでしょう?実は「SOS」には、これだけの恩恵があるのです。もっと言えば、誰かに相談することで、あなたの悩みの根源を解消する具体的な方法も見つかるしれません。ここまで理解しても、あなたはまだ我慢し続けるでしょうか?

「SOS」は“弱さ”ではなく“生きる力”である

私たちは便利さと引き換えに、孤独や息苦しさを抱える時代を生きています。ストレス社会・自己責任論・同調圧力……こうした見えないプレッシャーの中で、誰にも頼れず一人で苦しんでいる人が増えています。

こんな現状だからこそ、私たちは「幸福な生き方」について今一度よく考えなければなりません。

幸せに生きるために、時には自分の常識を疑う必要もあるでしょう。完璧を目指すのをやめてもいいし、誰かに助けを求めてもいい。人に迷惑をかけることは「悪」ではなく、誰もが支え合って生きる社会の自然な形です。

今回は、「SOS」を出すことで体がリラックスし、心は軽くなり、免疫力まで高まるメカニズムについて解説しました。

自分を苦しめる呪いを手放し、「助けて」と言える自分を許してあげましょう。それは、あなたの中にある「生きる力」の証なのですから。

生きる才能がある人とない人 ~生きづらさを克服する方法~
「生きづらさ」を感じる理由は、本人の弱さではなく「環境」にあった──。障害や病気、家庭環境などさまざまな背景に苦しむ人々に向けて、生きづらさを克服するための具体的な方法と、希望を持つ力の重要性を解説。支援とつながりが、あなたの生きる力を取り戻すカギになるかもしれません。

【参考サイト】
こども家庭庁「こども・若者の意識と生活に関する調査」
PR TIMES「睡眠薬服用率は全体で10%超!自己判断での服用は副作用を引き起こす可能性も脳と睡眠を科学するブレインスリープ、調剤薬局を展開するファーマみらいが新たな睡眠課題解決へ」
日経メディカル「【疫学会速報】日本人成人の睡眠薬服用率は7.4%、多量服用者には日中過眠や意欲低下多い」

【参考資料】
・厚生労働省「精神疾患を有する総患者数の推移」