医療技術が発達した現代社会。
しかし、一方で現代人は薬に過度に依存し、服薬が当たり前の行為になっています。市販薬や処方薬の過度な使用は健康を害するだけでなく、私たちの自然治癒力を弱め、免疫力を低下させる原因にもなります。
今回は、「市販薬依存」という現代病に焦点を当て、健康を維持する自然な生き方を提案します。
現代人のライフスタイル

かつて治療が難しかった病気や症状も、現代では速やかに発見し、迅速に対応できるようになりました。しかし、医療の進歩が逆に私たちの健康リテラシーを低下させ、医療に依存しやすい状況を生んでいるのもまた事実です。たとえば、頭痛や腹痛、発熱などの症状があった場合(しかも病院に行くほどの重症でもない場合)、ドラッグストアへ走って市販の頭痛薬や風邪薬、胃腸薬、解熱剤や咳止め薬などを購入し服用する人は多いでしょう。市販薬を手軽に購入できるのは便利ですが、軽い症状でもすぐに薬に手が伸びやすい環境であるため、依存リスクは自覚しておかなければなりません。
また、生活習慣病やストレスに起因する疾患の患者数が増加していることが示すように、私たちの免疫力や生命力は低下しつつあります。長時間労のデスクワークや不規則な生活、食生活の乱れ、過剰なストレスなどが健康に悪影響を与え、病気を引き起こす原因となっているのです。
こうした現状において重要なのは、医療に依存するのではなく、医療を補助的に活用しながら、自分自身の免疫力や自然治癒力を高める「人間の本来の姿」そのままのライフスタイルを取り戻すことです。
“天然の薬”を生み出す人体の力

人間の体には、薬に頼らずとも健康を支える力が備わっています。この力を「自然治癒力」と呼びます。体が外部からの侵入者(ウイルス)を排除したり、病気に対して自己回復したりするメカニズムです。
実は、インターフェロンやインターロイキン2などの免疫物質は、体内で自然に産生され、私たちの免疫システムを強化します。セロトニンやオキシトシンといった神経伝達物質も同様です。これらの物質は、薬によって発見されたかのように思われがちですが、実際には人間の体にもともと備わっているものであり、脳がこれらを活性化することで、痛みのコントロールや鎮痛作用、免疫反応を強化するのです。
エンドルフィンやダイノルフィンといったペプチドは、モルヒネのような作用を持ち、神経の痛みを緩和したり、リラックス反応を促進したりします。このように、私たちの体には、薬剤に依存せずとも健康を支える力が備わっているのです。
市販薬のメリットとデメリット

市販薬のもっとも大きなメリットは、その手軽さと即効性です。軽い症状であれば、市販薬を服用することで、短時間で症状が改善されることが多いため、忙しい現代人にとって便利な選択肢えす。しかし、これにはリスクも伴います。
一番の問題は、過剰な薬の摂取が免疫系を弱める可能性があることです。
市販薬には多くの場合、症状を緩和するための成分が含まれていますが、それらは病気や症状を根本的に治療するわけではありません。むしろ、薬に頼り過ぎると自律神経が崩れたり、副作用による負担が大きくなったりして自然治癒力が抑制され、免疫機能が低下してしまう可能性があります。
さらに、薬物依存のリスクもあります。長期的に薬を服用し続けることで、体がその薬に依存してしまい、薬がなくては日常生活が送れなくなるケースも。市販薬の乱用は、薬物依存症や慢性的な健康問題を引き起こすリスクを高めるため、注意が必要です。
東洋医学の生薬と西洋医学の薬剤
東洋医学の生薬は、体のバランスを整えることを重視しています。中でも生薬は、体内で自然に生じる反応を引き出すために使用され、免疫機能を高める手助けをします。たとえば、漢方薬などの生薬は、個々の体質や症状に合わせて処方され、体全体の調和を図りながら治癒を促進します。これに対し、西洋医学の薬剤は、病気の症状を直接的に抑えることを目的とし、迅速に効果を発揮するのが特徴です。
両者はアプローチが異なりますが、どちらも薬が体内の自然治癒力をサポートするためのものであり、決して病気を根本的に治すものではありません。薬剤が免疫系に与える影響を理解し、薬を過信することなく、補助的に活用することが重要です。
薬の役割とその限界
薬剤は、症状を抑えるのに有効ですが、薬が病気を根本的に治療するわけではないことを理解しておかなければなりません。たとえば、インターフェロンやインターロイキン2は免疫系疾患の治療で使われることがありますが、これらは病気の根本的な原因を取り除くわけではありません。薬はあくまで体内の機能をサポートし、症状を軽減するためのツールであり、病気そのものを治す力を持っていないのです。
市販薬も同様ですし、ほとんどあらゆる薬剤が同様の性質を持っています。しかし、服薬という行為があまりにも当たり前になってしまった現代においては、「薬を飲んでおけば病気が治る」と誤解している人が少なくありません。
スタンフォード大学のアブラム・ゴールドシュタイン教授は、薬物依存の研究において、オピオイド(いわゆる脳内麻薬)を最初に発見した人物です。教授が発見したエンドルフィンやダイノルフィンなどのペプチドには、神経インパルスの流れを緩慢にして痛みを緩和する鎮痛作用があり、人体の至るところに存在することがわかりました。このような、人体にもともと備わっている力を上手に引き出す知識や技術こそ、現代人に必要なスキルと言えるでしょう。
自分の体にはもともとダメージを治癒する力が備わっていること。だから、薬に依存しなくても自力で治癒できるということ──こういう事実を知っているか知らないかでも、心身のコンディションには大きな違いが生まれます。自己コントロール感や自己有効性を高めることで、病気などに伴う苦痛が飛躍的に緩和されるのです。
たとえば、「痛みは自分でコントロールできる」と考えるだけで、痛みそのものが和らぎます。これは、脳が作り出したポジティブなイメージにより心身が生理的に反応し、苦痛を和らげる神経伝達物質(天然の薬)が分泌され、ポジティブな効果が反映された結果です。
このように、自然治癒力が正常に機能するようなコンディションを維持するライフスタイルの実現こそ、人間本来の自然な在り方です。薬剤に頼ることで、こうした人間本来の機能が低下するリスクがあります。
「発熱」という現象一つとっても、そもそも発熱は体の免疫システムが正常に機能し、異物を排除しようとしているプロセスで自然に起こることです。それを解熱剤の服薬によって無理に解熱してしまうと、免疫システム本来の機能が十分に発揮されないどころか、免疫機能を低下させる上に病気を重症化へ導いてしまう可能性すらあります。
発熱に伴う症状が辛くて耐え難い場合は、解熱剤を服用して苦痛を和らげるのも一つの選択肢です。しかし、熱が少々高いからといって安易に解熱剤を服用するのは、実はそれなりのリスクが伴う行為であることを理解しておく必要があります。
薬に依存しない健康維持の方法

「薬に依存しない健康」とは、「人体本来の免疫機能を発揮できる自然な状態」のことです。できれば、自然体で発揮される免疫機能のパフォーマンスを最大化できれば理想的です。そのために必要なのが、あらゆる生活習慣から「不自然さ」を排除することです。
たとえば、人間にはもともと免疫機能が備わっており、自然治癒力があるわけですから、毎日何錠もの薬を服用する状態はそもそも不自然です。あるいは、現代食は濃い味付けが当たり前になっていますが、これらはほとんど「麻薬のようなもの」です。
たとえば、塩分や糖分、脂質など、どんな成分であろうと過剰に摂取すれば体に悪いことは、ほとんどの人が知っているでしょう。現代の食事では、そんな「あらゆる成分を過剰に摂取しやすい状況」にあります。米国で「肥満」が社会問題になったのは記憶に新しいですが、やがて日本も同じ道を辿ることになるかもしれません。
また、塩分の過剰摂取に代表される心血管疾患や、糖分の過剰摂取に代表される糖尿病などの総患者数は、この数十年で驚異的に増加しました。
まして、加工食品には数々の食品添加物が添加されています。それぞれの添加物の安全性が認められているとはいえ、複数の添加物を毎食のように摂取するリスクについて言及されることはありません。

過剰で偏った栄養素のリスクだけでなく、食品添加物のリスク、さらにはデスクワークの増加に伴う運動不足など生活習慣の悪化、劣悪な労働環境や希薄な人間関係、不況による経済的苦難といったさまざまなストレス。現代には、「人間の免疫機能を低下させる要因」が山積みです。
薬剤に依存せずに健康を維持するには、こうしたストレスの根源を、一つひとつ抜本的に見直していくしかありません。それはつまり「ライフスタイルの見直し」です。
まずは、自律神経を整える生活習慣(自律神経を乱すあらゆる悪習慣を排除したライフスタイルの実現)が、健康維持の最初の鍵になるでしょう。
免疫機能を高めるための具体的な方法
自律神経を整えて免疫力を正常化するには、さまざまな方法があります。たとえば、健康的な食生活や運動習慣、ワークライフバランスの最適化、人間関係の健全化、快適な睡眠環境の構築などです。「これをやれば1発で解決」というチートのような方法はありません。生活に伴うあらゆる物事を、バランス良く管理する必要があります。
何から取り組み始めるかは人それぞれですが、最終的な目標は「生活に伴うストレスの根源を排除すること」です。
たとえば、過酷な労働環境や職場の人間関係がストレスになっているのなら、転職や人間関係の清算といった解決策が必要ですし、経済的な悩みを抱えているなら、その悩みを解決するための策が必要です。とにかく「自分は何にストレスを感じてるのか」ということを明確に把握しないと、解決すべき問題や課題も明確になりません。
「不満が多いから満足できるものを足していこう」という方針は、あまりおすすめしません。なぜなら、いくら自分へのご褒美に大層な買い物をしても、致命的なストレスが依然として存在している以上、問題は何も解決されないからです。
「不満が多いから不満要素を一つひとつ抹消していこう」という目線でないと、真の幸福度は得られません。
ストレスと向き合うのは骨の折れる作業ですし、増して解決に乗り出すとなると苦痛さえ伴いがちです。しかし、何年にもわたり胃を痛めながら耐え忍び、最終的に社会復帰が難しいほどに心身を打ちひしがれるくらいなら、ほんの短い期間を投資して、ストレスの根源を手放した方が、人生の総合的なQOLは圧倒的に高くなります。
人生は常に「今の選択が自分の将来を作る」ということを忘れずにいましょう。
薬に依存しない生き方を取り戻すために
医学の発展は、確かに人類にとって価値あるものです。しかし、薬はあくまで補助的な役割を果たすものであり、依存すべきものではありません。薬を頼るのではなく、人間本来の免疫力や自然治癒力を高める視点を持つことが、自然体で健やかに生きるために必要です。
今回は、薬に依存しない生き方を取り戻すために、医療の役割を再考し、日々のライフスタイルを見直すことの重要性についてお話ししました。私たちにもともと備わっている本来の力を引き出す生活習慣を実践することで、より健やかな生活を送ることができるようになるはずです。
今からでも、快適で幸せな日々の実現に向けて、生活習慣を少しずつ見直してみませんか?


