遠隔治療を可能にする「祈りの力」の正体とは

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「遠方からの祈りが病を癒やす」と言ったら、皆さんは信じるでしょうか?

まるで超能力のように見える現象ですが、実は米国では「祈り」に関する研究が盛んに行われており、遠隔治療や遠隔ヒーリングが患者の回復に貢献したケースも確認されています。

今回は、科学的な目線から「遠方から患者を回復させることは可能なのか」を考察します。

“祈り”の意外な効果

米国では、“祈り”が病の回復に効果的かどうかを調査する研究が盛んに行われています。

元カリフォルニア大学の心臓学教授ランドルフ・ビルド氏が1982~1983年にかけて実施した実験では、393人の心臓病患者のうち、毎日他の人たちから祈ってもらったグループ(192人)のうち病状が悪化したのは9人。祈りを送ってもらわなかったグループ(201人)のうち、病状が悪化したのは48人であったことが報告されています。

また、ミズーリ州の病院で1000人の患者を対象に実施された同様の実験では、祈ってもらったグループの人たちの方が、祈ってもらわなかったグループよりも回復速度が10%も早かったという結果が出ています。

デューク大学が1986年から1992年に行った、65歳以上の4000人を対象とした実験においても、毎日祈りを捧げている人は、祈らない人よりも長生きしたという結果が報告されています。

なお、祈りに関する研究や調査はこの通り盛んに行われていますが、科学的に十分なコンセンサスが得られておらず、祈りの効果を実証するエビデンスも今のところありません。

とはいえ、祈りが人の心身に影響を与えるのは、多くの人が経験したことがあるはずです。次項では、祈りが心身に影響するメカニズムについて考察します。

祈りが病を癒やすメカニズム

“祈り”が病を癒やすのは、祈ったり祈られたりすることで「希望」が生まれるためです。

希望をもう少し具体的に説明するなら、「快方に向かうかもしれない」「何とかなるかもしれない」「助けてもらえるかもしれない」といった期待であり、こうした期待から生まれるプラセボ効果により、心身のコンディションが整いやすくなるのです。

つまり、患者本人と患者の周りにいる人たちの心の持ち方や態度が、免疫能力に大きな影響を及ぼしたり、患者の期待に応えようとする周りの人たちや、信頼されている人たちの患者に対する態度が、患者の治癒に大きく影響したりするのです。

なお、プラセボ効果は「偽薬効果」ともいい、薬効がない薬剤であるにもかかわらず、「この薬には効果がある」と信じて服用することで、十分な薬効が表れる現象のことをいいます。

プラセボについて詳しく知りたい方は、「健康の秘訣は「思い込み」だった⁉ 心が体を生かす人体の神秘」も併せてご覧ください。

健康の秘訣は「思い込み」だった⁉ 心が体を生かす人体の神秘
プラセボ効果で病が治癒し、ノセボ効果で命を脅かす驚きの事例を紹介。健康的な暮らしの実現に向け、「思い込み」が持つ力を活用するヒントと、心と体の密接な関係について解説します。

“祈り”の具体的な効果

祈りがプラセボ効果を発動させ、免疫力を高めることがわかりました。

では、その「プラセボ効果」には実際にどのくらいの効果があるのでしょうか。

具体的な効果としてあげられるのが、プラセボ効果による胃酸の減少や消化性潰瘍の改善などです。リウマチ関節炎においては、アスピリンやコルチゾンよりも高い効果が確認されるケースもあり、血圧を下げ、咳すらも抑える効果があることがわかっています。

しかもその効果は、1年以上にわたり続く場合も。

もっと身近な例では、発熱が治まったり痛みが和らいだり。お笑いトリオ「ダチョウ倶楽部」のメンバーであった故・上島竜平さんが、飲み屋などでただのウーロン茶をウーロンハイだと思い込んで飲み泥酔した──というエピソードは有名です。これもプラセボによる効果の一例です。

「こうなるだろう」「こうなるはず」という思い込みが、実際に体に作用する現象は実は珍しくないのです。

遠隔治療は可能か?

遠方からの祈りで病を癒やすことは可能なのでしょうか?

結論から言うと、実現できる可能性は高いでしょう。

プラセボのメカニズムからわかるように、医師の態度は患者のコンディションを大きく左右します。医師の悲観的な態度は患者の無力感を増大させますし、逆に医師の希望的観測は患者に希望を持たせます。

麻酔をかけられている状態ですら、患者の周りで話された悲観的・侮辱的な言葉は、患者の心身に広範囲な影響を及ぼすと言われています。人間の生理反応は、何を言われたのか、誰が言ったのか、どこで聞いたのかなどによって、急激に変化するのです。

また、癌と診断された直後に、症状が急激に悪化する人が多いのも、プラセボにより免疫機能が低下した結果だと考えられます。ですから、病の回復に期待するなら、自然治癒力を刺激するような態度、励ましを実践すべきでしょう。免疫力を整えて健康的に生きるには、大事な場面でポジティブな声をたくさん聞けるような人間関係や環境を作るのが効果的です。

もちろん、ポジティブな声は必ずしも「対面で聞かなければプラシボを発動しない」わけではありません。ビデオ通話で遠方にいる人からポジティブな声をかけられても十分な効果に期待ができますし、極端な話、ポジティブな言葉を直接聞かなくても、「〇〇さんがあなたの健康をお祈りされていましたよ」と、自分の健康を祈ってくれている人の存在を第三者から知らされるだけでも、ポラセボ効果に期待できます。

特に「祈り」には、単なる「声掛け」ではない特別なニュアンスがあります。「健康でありますように」「回復しますように」という祈りは、これ以上なくポジティブな態度といえるでしょう。祈ってもらった患者のプラセボがそれだけ強力に働き、病症の回復を促進するのは想像に難くありません。

“祈り”は希望を生む

「遠隔治療」「遠隔ヒーリング」と言うと、超能力など疑似科学的な力をイメージしがちですが、本記事で解説したように、実は科学的に検証可能なトピックです。

もちろん、遠方から病や外傷を直接治すような、それこそファンタジーの世界で描写されるような力ではありませんが、「患者の免疫力を高めて自己治癒を促す」という面において、祈りには確かな影響があります。

また、ここで侮ってはいけないのが「人間の免疫力や自然治癒力」の強大さです。

「プラセボ(つまり思い込み)だけで、深刻なガンが治る」ということも、現実に何件も観測されています。詳しくは「“がん”はなぜ治るのか ~がんが治癒した5つの事例~」をご覧ください。

他者の祈り(ポジティブな態度)の影響力も目を見張るものがありますが、それにより免疫力が整い、自然治癒力が活性化されると、人間の体は驚くほどの回復力を見せることがあります。

この「免疫力」と「自然治癒力」の効果を最大化するために、普段から健康的な生活習慣を心掛け、心身の英気を養うことが大切なのです。

最後に、「祈り」は必ずしも他者から送られなければ効果がないわけではありません。たとえば、自分自身に「あなたは大丈夫」と言い聞かせたり、受験生が机の前に大きく「絶対合格!」と張り紙をしたり、試合前のアスリートが「必勝!」の張り紙を部屋に貼ったりする技術「アファメーション」は、科学的にも効果が確認されています。

日ごろからポジティブな言葉を心掛け、自分自身を元気づけて励ますのは、自分で自分の免疫力を高める健康的な習慣なのです。

“言葉”の偉大な力│免疫力を「上げる言葉」と「下げる言葉」」では、アファメーションをはじめ言葉の力について解説しています。併せてお読みください。

 

【参考サイト】
DIAMOND online「祈りが及ぼす患者の回復への影響がアメリカの大学や病院で実験されています」