QOLとは「Quality of life(クオリティ オブ ライフ)」の略で、日本語では「人生幸福度」と訳されます。
近年は経済的な指標を示すGDPと同様、社会的幸福度を示す指標として「ウェルビーイング(well being)が世界的に注目されています。幸福の定義は人それぞれですが、世論調査のパイオニアである米国のギャラップ社は、人間の社会的幸福度、つまりウェルビーイングを実現する5つの要素を提唱しています。
- フィジカル ウェルビーイング(Physical well-being)
- ソーシャル ウェルビーイング(Social well-being)
- キャリア ウェルビーイング(Career well-being)
- フィナンシャル ウェルビーイング(Financial well-being)
- コミュニティ ウェルビーイング(Community well-being)
今回はこのうちの「キャリア ウェルビーイング」にスポットライトを当て、仕事を通してQOLを高めるためのヒントをご提案します。
仕事でQOLを高めるためには

仕事を通してQOLを高めるには、大きく2つの指標があります。一つは「ワークライフバランス」、もう一つは「ワークエンゲージメント」です。
それぞれ詳しく解説します。
ワークライフバランスを最適化する
ワークライフバランスとは、文字通り「仕事と生活のバランス」を指します
近年、2019年以降の世界的なパンデミックを機に、テレワークやリモートワークが珍しくなくなりました。また、働き方の多様化に伴い、ワークライフバランスが重視されるようにもなってきました。
実際、仕事と生活を無理のないバランスで両立することは、ストレスフリーな生き方を実現する上で欠かせない条件です。働き方が多様化し、労働環境の選択肢が増えれば、それぞれのライフスタイルに適した働き方が実現しやすくなるでしょう。
とはいえ、理想的な働き方や労働の価値観は人によって異なります。キャリア志向の人は労働に多くの時間を割きたいでしょうし、家庭重視の人はプライベートを大切にしたいでしょう。これらは個々の価値観や性格だけでなく、ライフスタイルや年齢などによっても変化します。
さて、ワークライフバランスをコントロールする上でもっとも厄介なのが、いわゆる「同調圧力」です。
たとえば会社員が有給休暇を取得するのは権利であり、会社がその権利を保護しなければなりませんが、現実には周囲の冷たい目があったり、何となく有給を消化するのは罪といった空気感や無言の圧力があったりで、自由に有休を取得できない人も多いでしょう。
特に日本人は協調性が高い国民性なだけに、反動のような形で極端な同調圧力が生まれやすいといわれています。大多数が「No」と言う中、一人で「Yes」の看板を掲げて孤軍奮闘するのは確かに骨が折れますし、下手をすればキャリアや待遇に支障をきたす可能性があるのが厄介なところです。
しかし、だからこそワークライフバランスを適切にコントロールするために、時には転職や退職など大胆な決断が必要です。あるいは、より良い未来を築くためには避けて通れない道でもあります。
いずれにせよ、自分にとって適切なワークライフバランスを見つけ、その実現のために思い切った舵取りをするのは、長い目で見ると今後の人生にとって有意義な決断になる可能性が高いでしょう。
ワークエンゲージメントを獲得する
ワークライフバランスとともに重要な指標となるのが「ワークエンゲージメント」です。
ワークエンゲージメントをわかりやすく一言で言うと「働きがい」でしょうか。仕事に対する熱意や活力があり、モチベーションが高まっている状態です。
ワークエンゲージメントが高いと、仕事が楽しく感じられたり、職場で過ごす時間が充実していたりします。そのため、仕事が苦痛ではなくむしろ生きる活力になっていたり、仕事を通して気力が充実したりしやすいのです。
このような状態で働けると当然パフォーマンスが高まりますし、実はワークライフバランスも適切に調整しやすくなります。ただし、仕事のためにプライベートを犠牲にするようなワーカホリックに陥らないよう気をつける必要があります。なぜなら、ワーカホリックに陥るとやがてはワークエンゲージメントが低下し、ワークライフバランスを適切に保つのが難しくなるからです。
さて、ワークエンゲージメントを高める方法はいくつかあります。
一つは「目標を決める」こと。
短期的な目標でも長期的な目標でも構いません。その目標を達成したら自分の人生がもっと良くなるようなミッションを設定し、クリアするために日々の努力や工夫を重ねる形が理想的です。仕事にやりがいを見出したり、働く価値を見出したりするのも効果的です。
二つ目は「オンとオフを切り替える」ことです。
ワーカホリックを防ぐために必要な措置ですが、仕事との心理的距離を置いてリラックスすることは、仕事上におけるストレスをリカバリーする上で不可欠なことでもあります。いくらリング上での試合が好きでも、試合後にはしっかりと休息をとり、次の試合に備えてリカバリーするのと同じ原理です。
三つ目は「これらをコントロールできる」ことです。
たとえばワークライフバランスや仕事のオン・オフのタイミングなどを、自分である程度コントロールできる環境を作ることで、コンディションを自分自身で適切に調整しやすくなります。どのようにしてコントロール感を得るかは、制度を利用したり、綿密なコミュニケーションの上で環境を整備したりなどさまざまでしょう。
いずれにせよ、これら3つの達成を目指すことで、ワークエンゲージメントを高めやすくなります。
QOL向上には優位性が鍵
仕事におけるQOLを高めるには、「ワークライフバランス」と「ワークエンゲージメント」が必要なことがわかりました。では、これらを獲得するにはどうすればいいのでしょうか?
答えは「何かしらの優位性を獲得すること」です。
優位性とは「自分だからこそ提供できる商品やサービスの価値」であり、自分自身の社会的価値そのものを表します。
優位性を獲得するための、もっともスタンダードな方法が「キャリアステップ」です。キャリアを築くことで、経験や実績に基づく優位性を示すことができます。たとえば、「学歴」や「資格」などが典型的です。キャリアの優位性を獲得することで、より高度で条件の良い仕事を獲得しやすくなるでしょう。
あるいは「起業」という選択も現実的です。もちろん、事業者として相応の責任が求められますが、事業が軌道に乗ればもっともワークライフバランスやワークエンゲージメントをコントロールしやすいポジションと言えるでしょう。
仕事の選び方が人生の命運を分ける
大半の人は、仕事と共に人生を生きています。「家族よりも職場の人間と一緒に過ごす時間の方が長い」という人も珍しくはないでしょう。つまり、仕事は自分の人生にそれだけ大きな影響を及ぼすものなのです。
仕事のために家庭を蔑ろにした多くの人が、最後には「もっと家庭を大切にするべきだった」と後悔しています。Appleの創業者であり、ビジネスマンのカリスマでもあるかのスティーブ・ジョブズも、最期には同様の言葉を残しています。スティーブ・ジョブズに限らず、身近にも「仕事のために家庭を蔑ろにして熟年離婚した夫婦」や、「妻や家族に見捨てられてから後悔する定年した夫」などに心当たりはありませんか?
仕事がQOLを決めるわけではありませんが、仕事を選ばなければQOLが向上しないのもまた事実です。
本記事の冒頭で述べたように、人生の幸福度を決める要素はある程度決まっています。どれか一つのために他のいくつかを捨てるのではなく、すべてをバランス良く調整することが、心身の健康を維持しながら幸福に生きる最適な方法なのです。
仕事を選ぶ際は「ワークライフバランス」と「ワークエンゲージメント」に注目して、本当の意味で自分に合う仕事を、適性の高い仕事を選びましょう。


