人間の体には、ウイルスやがん細胞と闘う免疫機能が備わっています。免疫機能の中でも、ウイルスやがん細胞を直接的に破壊する実行部隊が「自然免疫」と「獲得免疫」と呼ばれる各種免疫細胞です。
今回は、自然免疫の中でももっとも強力な働きをする「NK細胞(ナチュラルキラー細胞)」を活性化する方法について解説します。
NK(ナチュラルキラー細胞)とは
NK細胞は免疫細胞の一つで、人間の体に生まれつき備わっている自然免疫のうちの一つです。自然免疫には、以下の種類があります。
- 好中球…白血球の約50~70%を占める、最前線の戦士。異物を素早く認識し殺菌する。
- 好酸球…寄生虫(特に蠕虫)への攻撃に特化。アレルギー反応にも関与し、喘息やアレルギー性鼻炎の原因となることも。
- 好塩基球…血液中に存在し、ヒスタミンやロイコトリエンを分泌。主にアレルギー反応を引き起こすが、寄生虫防御にも関与。
- マクロファージ…異物を貪食しつつ、サイトカインを分泌して免疫システムを活性化。
- 樹状細胞…異物を取り込み、ヘルパーT細胞へ抗原を提示する司令塔。マクロファージよりも抗原提示能力が高く、免疫全体を活性化。
- NK細胞…がん細胞やウイルス感染細胞を即座に攻撃するエリート戦士。MHC(自己の目印)を持たない異常細胞を識別し直接破壊。
この中でもNK細胞は、免疫系統の指示を待つことなく、独自に全身を動き回って異物を排除する特徴があります。NK細胞は全身のリンパ球のおよそ5~15%程度を占めており、数は少ないものの強力な殺傷能力でウイルスやがん細胞を駆除します。
つまり、健康的な体を作るには、NK細胞を活性化させるのが効果的ということです。
NK細胞を活性化するには
NK細胞を活性化するのに効果的な7つの方法をご紹介します。
1.笑う

「笑い」は、NK細胞の活性を大幅に高めることが、さまざまな研究により明らかにされています。「笑う門には福来る」という言葉の通り、笑いは心身の健康を大きく支える重要な要素なのです。
コメディ映画や落語を観たり、友人と楽しく会話するだけでもNK細胞の活性化に期待できます。笑うことでエンドルフィンなどの幸福ホルモンが分泌されてストレスが軽減されると共に、各種ホルモンが血流に乗って全身に運ばれ、NK細胞と結びつくことで活性が促されます。
笑い上戸の人や毎日笑って過ごしている人、定期的に笑う人は、そうでない人よりも抗体レベルが高く、「作り笑い」でもある程度の効果があることがわかっています。
健康的な暮らしを実現するために、笑いの要素を生活に取り入れることを意識してみましょう。
「笑い」の効果については「“笑い”が免疫力を高める! 笑いがもたらす健康効果」で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
2.適度な運動

適度な運動も、NK細胞の活性化を図るのに効果的な方法です。
ウォーキングやジョギングなど、軽度から中程度の有酸素運動が特に効果的といわれており、適度な筋トレにも一定の効果が期待できます。ただし、過度な運動はストレスホルモンの分泌を促し逆効果になってしまうので注意が必要です。
息が弾む程度の運動を20~30分ほど続けるのがポイント。週3回以上の適度な運動を習慣化できれば理想的です。
外に出て運動するのが難しい場合は、自宅で踏み台昇降やスクワットを行うのがおすすめ。また、普段の移動時はできるだけ電車やタクシーを使わずに歩いたり、エスカレーターやエレベーターを使わず階段を利用することを意識したりするだけでも効果があります。
3.良質な睡眠

NK細胞は、睡眠中に回復して増殖するといわれています。そのため、睡眠不足は免疫低下の大敵なのです。
良質な睡眠を得るために、寝る前のスマホ操作やカフェインの摂取、過度なアルコールの摂取などを避けましょう。また、寝る前の軽いストレッチやヨガ、瞑想などでリラックスできる状態を作ると、副交感神経が優位となり良質な睡眠が得やすくなります。
4.バランスの良い食事

腸内には、免疫細胞の6~7割が集まっているといわれています。ですから、免疫力を整えるには、腸内環境を整える健康的な食事が欠かせません。NK細胞の活性化を促す食べ物を、積極的に摂取しましょう。
NK細胞を活性化させる主な食品は次の通りです。
- 発酵食品(ヨーグルト・納豆・キムチなど)…腸内環境を整え免疫力アップ
- ビタミンC(柑橘類・パプリカ・ブロッコリーなど)…免疫細胞の活性をサポート
- ビタミンD(鮭・きのこ・卵など)…NK細胞の増殖を促進
- 亜鉛(牡蠣・レバー・ナッツなど)…免疫細胞の合成に必須
- ポリフェノール(緑茶・ブルーベリー・カカオなど)抗酸化作用でNK細胞をサポート
食事の面でNK細胞の活性化を促すには、腸内環境を整える「腸活」が効果的です。腸活の効果や、腸活に効果的な具体的な食品については、「免疫力を左右する脳と腸│脳腸相関と腸活の有効性」で詳しく解説しています。
5.体を温める

いわゆる「温活」も、NK細胞の活性化を促して免疫力を高める効果的な方法です。体温が1℃上がると、NK細胞の活性が数倍に向上するといわれています。
温活には、毎日の入浴(38~40℃のお風呂に15分程度)で血行を促進したり、生姜やにんにく、ねぎなどの温活食材を積極的に食べたりするのが効果的です。
特に女性は冷え性の方が多いですが、冷えは免疫の大敵なので、温活を習慣にしてやや高めの体温を維持したいところです。
6.自然とのふれあい

ハイキングやトレッキング、キャンプなどのアウトドアで自然とふれあうのも、NK細胞の活性化に役立ちます。森林浴ではフィトンチッド(樹木などが発散する、微生物などの働きを抑制する物質)の効果により、NK細胞の活性化促進やストレス軽減といった効果に期待できるほか、日光浴では免疫機能を調整する働きがあるビタミンDの生成により、NK細胞活性をサポート。1日15分以上の日光浴で、免疫力アップに期待できます。
自然とのふれあいはできるだけ習慣化したいものですが、毎日のようにトレッキングやキャンプに出掛けるわけにもいきません。週に1回は自然豊かな場所へ出掛けて、気分をリフレッシュしたいところです。
ちなみに、自宅の裏庭などで家庭菜園をしたり、花壇の手入れをしたりするだけでも効果があるので、日常的に自然とふれあうなら作物や植物を自分で育てるのがおすすめです。
7.ポジティブな人間関係

「笑い」がNK細胞を活性化させるのをはじめ、愛や慈しみ、友情といったポジティブな感情も、NK細胞活性化に役立ちます。人に感謝することで、愛情ホルモンとも呼ばれているオキシトシンが分泌されNK細胞を活性化。豊かな人間関係が抗体源となり、心身の健康をさまざまな形でサポートしてくれます。
良質な人間関係はまた、安心や勇気、希望を与えてくれる存在でもあります。愛、勇気、希望、安心、期待といった前向きな感情は、体内の免疫細胞の活性を促します。当サイトでは「免疫細胞の活性を促すもの」や「抗体を増進するもの」を「抗体源(こうたいげん)」と呼んでいます。
抗体源については、「抗体源とは? 抗体源を増やして免疫力を高める方法を解説」で詳しく解説しているので、併せてお読みください。
NK細胞活性化には生活習慣の改善が最適
最後に、NK細胞を活性化する7つの要素についておさらいしてみましょう。
- 笑う
- 適度な運動
- 良質な睡眠
- バランスの良い食事
- 体を温める
- 自然とのふれあい
- ポジティブな人間関係
これらをまとめると、NK細胞の活性化を促すには「生活習慣の改善」が効果的であることがわかります。規則正しいライフスタイルに、栄養バランスの整った食事。良好な人間関係、そして適度な運動や自分時間の確保など、NK細胞を活性化して免疫力を高めるのに、特殊な方法は必要ありません。
もちろん人間には欲がありますから、時には暴飲暴食したくなることがあったり、夜更かしをして遊びたくなることもあるでしょう。たまにの不摂生は、むしろ人生のスパイスです。あらゆる不健康を我慢するのもまたストレスになるので、あまり厳しく自分を管理する必要はありません。
とはいえ、普段の生活はできるだけ健康的に、無理のない程度に働いたり遊んだりして、日々を楽しく過ごしましょう。
最終的には「人生をめいっぱい楽しむ」のが、健康的に長生きする秘訣かもしれません。


