免疫力を左右する脳と腸│脳腸相関と腸活の有効性

体の健康

皆さんは「脳腸相関(のうちょうそうかん)」という言葉をご存知でしょうか?

脳腸相関とは、文字通り「脳と腸には相関性がある」という理論で、実は20世紀半ば(1950~60年)頃には、神経学や生理学の分野で提唱され始めていました。

1990年代以降には脳腸相関の正しさを裏付ける研究結果が報告されるようになり、2024年現在はいっそう深く、脳腸相関における人間の情緒やストレス、免疫機能の関連性やメカニズムについて研究されています。

最新の研究において、脳腸相関は疑似科学でもオカルトでもスピリチュアルでも何でもなく、実際に存在する現象であることがわかっています。

しかし、脳と腸が具体的にどのように関わり合い、心身にどのような影響をもたらすのか、理解している人はあまり多くないでしょう。

今回は、脳腸相関のメカニズムをわかりやすく解説するとともに、免疫力アップに欠かせない「腸活」の有効性についてご紹介します。

科学の発展により発見された「脳腸相関」

冒頭でお話ししたように、脳腸相関についての研究がさかんになったのは近年になってからです。

では、それまでなぜ脳と腸の相関性が科学的に研究されなかったのでしょう?

その背景には「観測できるものから証明されていく」という、科学の性質があります。

これまで人体のコンディションについては、医療分野をはじめほとんどあらゆる分野において、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・身体感覚の五感をはじめとした、電気信号や生理的な反射などをベースに研究されてきました。

可視化されない人間の欲求や感情などの情動は、もっぱら脳科学の分野だと思われてきたのです。

しかし、科学の発展に伴い、実は血圧の上昇や血糖の上昇、渇水感といったいわゆる内的感覚が五感と結びついており、とりわけ消化管の内臓感覚が、ストレス応答と深く関連性があることが臨床的にわかってきました。

これらは内臓感覚による中枢反応として、とりわけストレス科学の分野でさかんに研究されるようになりました。その結果、内臓の中でも特に脳と腸には高い相関性があることがわかったのです。

脳腸相関のメカニズム

近年、がんや潰瘍といった目立った症状があるわけでもないのに、胃腸の不調を訴えて病院に通う患者が増加傾向にあるといいます。また、こうした症状に悩んでいる人は、胃腸の不調だけでなく、不眠や頭痛、食欲不振、焦燥感や倦怠感といった症状を併発しているケースが多いといいます。

ストレスがこうした症状の原因となっているケースも多いため、症状を改善するには胃腸薬を服用するだけでは十分でなく、抜本的なストレス対策を講じる必要があるといいます。

さて、そうなると次に問題となるのが、実はストレスは腫瘍や潰瘍のように「物理的に改善できる不具合」でなく、むしろ物理的に干渉しにくい「主観的な要素」への対策です。

つまり、「ストレスをどう扱うか、どう処理するか」といった個体差により、疾患の予後が変わってくるという、非常に抽象的で曖昧な領域の難しい課題なのです。

ストレスを感じやすい繊細な「脳」のせいで「腸」が不具合になっているのか、それとも度重なる不摂生などで弱った「腸」のせいで「脳」がネガティブ思考になってしまっているのか。鶏が先か卵が先かのような話ですが、もちろんどちらのケースも起こり得ます。

実はこうした脳腸相関は、医学的にはもともとよく知られた現象として有名でした。

脳腸相関の観点からすれば、脳と腸、それぞれを喜ばせてあげられるようなコンディションを作るのが理想的です。

脳を喜ばせるには、ストレスへの対処法を学び、健全なマインドを自分でしっかりセッティングできるようになる必要があります。もちろん一朝一夕でできることではなく訓練が必要ですから、健康的なメンタルを構築するにはある程度の時間が必要でしょう。

健康的なメンタルを作って脳を喜ばせる具体的な方法やアイデア、ヒントについては、当ブログにてたくさん配信していきますので、他の記事も併せてご覧ください。

一方、腸を喜ばせてあげるのには、いくつかの方法があります。本記事では、気軽に取り組める「腸活」の有効性についてご紹介します。

腸活は「腸」にも「脳」にも良い

脳を喜ばせる体質を作るには訓練が必要ですが、腸を喜ばせるのは比較的簡単です。

腸を喜ばせるには、いわゆる「腸活」がもっとも効果的で、腸活により腸内環境を整えると、脳腸相関により脳の状態(厳密にいうと脳内で分泌されるホルモンや自律神経のバランスなど)が整い、メンタルも安定し、フィジカル的にも良好なコンディションを作りやすくなります。

「腹痛になって気分が落ち込み、何もやる気が起きなくなった」という経験は、おそらく誰しも一度はあるでしょう。脳腸相関をわかりやすく暗示する典型的な例です。つまり、胃腸の調子はそれだけダイレクトに「気分」や「精神状態」や「感情」や「モチベーション」や「元気」に直結しており、それを科学的な検証により裏付けられるのが「脳腸相関」の考え方です。

話を戻し、腸を喜ばせるのにもっとも手軽に取り組みやすいのが「腸活」です。

腸活とは、腸内環境を整える活動のことです。

「腸内環境を整える」をもう少し具体的に言うと、「腸内の細菌のバランスが良くなるように調整する」ということです。

腸内には、次の3種類の菌が棲息しています。

・善玉菌(ぜんだまきん)…乳酸菌やビフィズス菌など、悪玉菌の繁殖を抑える菌
・悪玉菌(あくだまきん)…ブドウ球菌やウェルシュ菌など、有害物質を発する菌
・日和見菌(ひよりみきん)…普段は無害だが、悪玉菌が増えると有害物質を発する菌

善玉菌が多くなりすぎても、悪玉菌がいなくなってしまっても良くなく、理想的なバランスは「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」といわれています。

それぞれの菌が腸内で種類ごとに群を成す様子が、品種ごとに固まって割く花(フローラ)のようであることから、これらをまとめて「腸内フローラ」といいます。

ちなみに「腸活」は、「腸内フローラのバランスを整える活動」の略です。

さて、「活動」とはいっても難しいことをするわけではなく、まずは腸内環境に良い食事を摂ること。そして適度に運動をしたり、リラクゼーションを取り入れたり、良質な睡眠がとれるよう工夫したりなど、生活習慣を少しずつ見直していくことが主です。

実は腸内には、全身の免疫細胞の6~7割が集まっているといわれています。つまり、人体の免疫機能は、腸の調子にかなり左右されるということ。食習慣をはじめ、生活習慣全般をバランスよく見直すことで、脳と腸の相関性により、心身のコンディションがバランスよく整っていきます。

腸活に効果的な食品

腸活には発酵食品が効果的とされていますが、発酵食品を食べたからといって必ずしも腸内環境が改善されるわけではありません。それぞれの生活環境やライフスタイルにより効果が異なりますし、何より人間にはそれぞれの体質があります。ですから、腸活をする際はまず「自分にはどのような腸活が合っているか」を探すところから始まります。

多くの人に一定の効果があるとされている食品として代表的なのが、大豆を原料とした発酵食品です。人によってはキムチやぬか漬けといった乳酸発酵食品が効果的だったり、野菜や豆類などで食物繊維をたっぷり摂るのが効果的な場合もあります。

以下は腸活に効果的といわれている食品の一覧です。

こちらの一覧を参考に、ご自分の腸活に合う食材を探してみてください。

食品名 概要
納豆 加熱せず納豆菌が生きた状態で摂取すると◎
甘酒 善玉菌を増やす成分を豊富に含む。ただし糖質も多いので飲み過ぎ注意
キムチ 加熱せず乳酸菌が生きた状態で摂取すると◎
味噌 善玉菌が多く含まれており、善玉菌の餌となる大豆オリゴ糖も豊富
ぬか漬け 植物性乳酸菌と食物繊維が豊富。自家製がおすすめ
ザワークラウト 腸活に効果的な乳酸菌や食物繊維、ミネラルが豊富
玄米 一般的な白米(うるち米)の約6倍の食物繊維を含有
きのこ類 不溶性・水溶性食物繊維が豊富。加熱するとたくさん摂取しやすい
海藻類 わかめや寒天など。不溶性・水溶性食物繊維が豊富。
玉ねぎ 善玉菌の餌となるオリゴ糖が、野菜の中でも特に豊富
キウイフルーツ 特にグリーンキウイは食物繊維が豊富
りんご 水溶性食物繊維が豊富。便秘時の腸活におすすめ
豆乳 善玉菌の餌となる大豆オリゴ糖が豊富
こんにゃく 水溶性食物繊維のグルコマンナンが豊富
オリーブオイル 腸内を掃除する効果に期待できる。加熱せずに使うのが◎
ヨーグルト 乳酸菌を増やすのに◎。ただしカゼインを含むので食べ過ぎ注意

 

【参考サイト】
J-STAGE「脳腸相関とストレス」
太陽化学株式会社「脳腸相関が科学的に説明できるようになってきています」