気分が落ち込んでいるときに風邪をひいたり、やらなきゃならないことがあるときに限って体調を崩したり……なんて経験はありませんか?
メンタルが落ちていたりプレッシャーにさらされていたりすると、ストレスにより免疫力が低下することが、近年の研究により明らかになってきました。
どうやら「病は気から」という言葉は事実のようです。
さて、「メンタルが落ちると免疫力も下がる」というのは、言い換えれば「メンタルを上手に管理できれば免疫力を高められる」ということでもあります。
本記事では、ストレス科学に学ぶ「免疫力アップのためのメンタル管理術」をご紹介します。
「強いメンタルが欲しい!」と思っている方は、本記事でご紹介するメンタル管理術を実践してみてください。
免疫力とメンタルの関係

そもそも、なぜメンタルが落ちると免疫力が下がるのでしょうか?
科学技術振興機構によると「交感神経が昂っている状態でストレスを受けると、感染防御という免疫本来の機能が損なわれる」のが原因とのこと。
簡単に言うと「強いストレスを受けると、免疫機能はストレスから体を守ることに手一杯となり、感染防御にまで手が回らなくなってしまう」ということです。その結果、風邪をひきやすくなったり、体調を崩しやすくなったりします。
「メンタルを上手に管理して免疫力を高める」というのは、実は「本来の免疫力を体に取り戻してあげる」ということなのです。
次項では、ストレス科学の研究において定義された「ポジティブ心理学の9つのトピック」を例に、免疫力を高める9つのメンタル管理術をご紹介します。
免疫力を高める9つのメンタル管理術

メンタルを上手に管理するには、具体的にどうすればいいのでしょう?
本項では、免疫力を高めるための具体的なテクニックをご紹介します。
1.人生の意味を見つける
心理学的に、人生の意義を感じる度合いには「一貫性」「意義」「目的」の3つの指標があると考えられています。
壮大な目標でなくとも、たとえば「ダイエットのために毎日ジョギングをする」や、「幸せな恋や結婚の実現に向けて自分を磨く」など、具体的な目標を持って努力を継続することで、人生の意義を感じやすくなります。
仕事に情熱を注ぐのももちろんいいですが、仕事に伴うストレスが大きくなってしまうと免疫力が下がってしまい本末転倒です。メンタルを上手に管理するには、オンとオフの無理のない切り替えが大切です。
2.対処行動をする
対処行動とは、「ストレスにどう対処するか」ということです。
たとえばコロナ禍において、世界的に多くの人が交友や外出の制限を受け、ストレスを感じやすい状況に陥りました。しかし、オンラインで人と交流したり何かを学習したりすることで、ロックダウン下でも健康的なメンタルで暮らすことができたのです。
このように、ストレスに対して代案で工夫すると、メンタルが安定し免疫力が向上しやすくなります。
3.セルフコンパッションをする
大切な人に優しい言葉を投げかけるのと同じように、自分自身に優しい言葉を投げかけてあげるのがセルフコンパッションです。
「大丈夫だよ」「いつも頑張っているね」など、自分自身に優しい言葉を投げかけるのは心のエクササイズであり、マインドフルネスの一種です。リラックス効果に期待できるといわれているので、習慣にするといいでしょう。
4.勇気を持つ
何かを実現するためにリスクを選択する勇気は、自己肯定感や自己効力感を高め、自信につながります。自分の意思や感情を尊重できれば、理不尽な忍耐や抑圧が生じにくいため、余計なストレスを抱えにくいといえるでしょう。
しかし、何かに挑戦することばかりが勇気ではありません。人に親切にしたり人生に希望を持ったりするのもまた勇気です。
勇気の出し方がわからない方は、人に親切にすることから始めてみるといいでしょう。
5.感謝する
誰かに対する感謝の気持ちは生活満足度を高めるだけでなく、メンタルの回復力や柔軟な思考力をも高めるといわれています。また、感謝は希望や勇気の促進にもつながります。人生の意味や対処行動なども含め、感謝の心はさまざまな要素と複雑に絡み合って人間のメンタルを安定に導く重要な要素です。
メンタルが落ちそうになったとき、まずは感謝できる相手について考えることから始めてみるといいかもしれません。そして、できることならその相手に直接、感謝の言葉を伝えましょう。
6.人格的強みを自覚する
人格的な強みは、言い換えれば「強いメンタル」の基盤です。MBTIなどの性格診断や、VIAなどの自己分析ツールは、自分の人格的な強みを理解するのに役立つでしょう。
ただし、人格的強みの獲得に必要なのは「自分にない強さを身につけること」ではなく、「自分がもともと持っている強みを理解しうまく引き出すこと」であることを頭に留めておく必要があります。
7.ポジティブ感情を心掛ける
ストレスにうまく対応し回復するには、ポジティブ感情が欠かせません。落ち込んでいるときに明るく前向きな気分になるのは難しいかもしれませんが、必ずしも「明るく前向きにならなければならない」わけではないのです。
落ち込んでいる自分を肯定するのもまた、ポジティブな態度です。大切なのは「いつまでも落ち込んでいる自分ではない」という希望や目的、ビジョンを持つこと。
希望やビジョンがポジティブ感情を形成し、ポジティブ感情が対処行動や勇気へとつながり、やがては人格的強みや人生の意義を生み出します。あるいは、人生の意義がポジティブ感情を促進するという逆のパターンもあるでしょう。
8.ポジティブな対人過程を築く
誰かと会話をしたり、笑い合ったりするだけで、多くの人は幸福感を覚えストレスが緩和されます。脳内で幸福ホルモンが分泌されるためです。ストレスを緩和し、メンタルを強化する上でも、仲間の存在はとても大きいものです。
中には孤独な方もいるかもしれません。
仮に孤独な境遇にあっても、勇気を出して誰かと接点を持つ(たとえばSNSを始めたり、コミュニティに参加したり)などの対処行動を起こし、セルフコンパッションを並行しながら、感謝の気持ちをもってポジティブな対人過程を歩むのがおすすめです。ストレス科学の観点、ポジティブ心理学の観点からも、最適なロードマップといえるでしょう。
9.質の良いつながりを持つ
「質の良いつながり」とは、自分に合った組織やチームに所属できているか、あるいは構築できているかを問うトピックです。
ブラック企業がわかりやすい例かもしれません。
人は誰しも、ブラック企業で酷使されたら消耗します。免疫力が低下し、体調を崩しやすくもなるはずです。質の悪いつながりから脱するには、勇気をもって対処行動をとるのがベストでしょう。
環境は、人のメンタルだけでなく生活習慣やライフスタイル、ひいては健康や生命にまで影響します。質の悪いつながりからはできるだけ早く抜け出し、心身の健康を促してくれるような質の良いつながりを構築しましょう。
免疫力を高めて健やかな日々を送るために
今回ご紹介した「免疫を高める9つのメンタル管理術」は、コロナ禍に世界各国で発表された、ストレス科学に関する多くの論文をまとめた「COVID-19パンデミックに対するポジティブ心理学実践の展開」に基づいたご提案です。
こちらの論文は必ずしも体系化された理論によって展開されているわけではないため、概念のレベルもさまざまで統一されていません。
しかし、今回ご紹介した9つのメンタル管理術が、それぞれ相互に作用しながら補完し合うものであることは、おわかりいただけたのではないでしょうか。
免疫力を高めて健やかな毎日を送るために、ぜひ本記事の「9つのメンタル管理術」を実践してみてください。
【出典】
・科学技術振興機構
・国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究通巻39号 9-20「ストレスと免疫機能」


