カルマとは? 健康と密接な「カルマ」の正体

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「カルマ」という言葉を聞いたことはあるけど、意味はよくわからない──という人はきっと多いでしょう。実は「カルマ」は、健康と深く関係しています。

カルマの意味を理解することは、心身の健康を保ち、日々を健やかに暮らすために役立ちます。

今回は「カルマ」の意味と健康への影響について、わかりやすく解説します。

カルマとは

カルマはもともとヒンドゥー教や仏教などで用いられていた概念で、サンスクリット語の「कर्म(karma)」を語源とした言葉です。日本語に直訳すると「行い」や「行為」という意味で、仏教では「業(ごう)」とも言います。

業とは、「現世での行動が来世に影響する」という、輪廻転生に基づいた概念です。善業は幸福な転生をもたらし、悪業は不幸な転生をもたらすという考え方をベースに、インド哲学や宗教などにおいて非常に重要な概念として用いられています。

カルマは業と同義で、簡単に言えば「善行を積むと来世で幸せになれるから、現世で徳を積みましょう」という考え方です。逆説的には「悪行を積むと悲惨な来世を迎えることになるので、悪事は慎みましょう」という考え方でもあります。一般的には後者の「悪業」として使われることが多いですが、必ずしも「カルマ=悪業」ではありません。

カルマをわかりやすく言い換えるなら「自分の行い」で、「カルマを積む」という言葉は「自分の行いを背負う」という言葉に言い換えることができます。

また、仏教では「カルマが蓄積されることで輪廻転生が続く」とされており、悟りを開いてカルマを断つことで輪廻から解脱し、涅槃(ねはん)に至るといわれています。涅槃とは、英語で「Nirvana(ニルヴァーナ)」といい、煩悩が消えた悟りの境地、安らぎの境地を意味します。

たとえば、人間は食事を摂らなければ生きていけません。魚や肉、野菜など、たくさんの命をいただいて私たちは生きています。自分が生き伸びるために、自分以外の生命を奪い、それをいただく──。この罪深くもやむを得ない行為を「業」として、その罪を自ら背負い、そして生命に感謝と敬意をもって生きましょう──と教えるのが仏教です。

カルマの健康への影響

カルマは、心身の健康を左右します。もちろん、カルマが直接的に健康に影響を与えるわけではありません。重要なのは、カルマを“どう意識するか”です。

わかりやすい例を一つ挙げてみましょう。たとえば、犯罪を犯した犯人が、逃亡中に罪の意識にさいなまれて自首したり、ストレスから食事が摂れなくなってげっそりと痩せたりするケースがよくあります。これは「罪の意識」による影響で、犯人が自分の犯した罪の重さを自覚しているからこそ生まれるストレスです。

反対に、誰かに親切にすると気分が良くなり、その日一日を良い気分で過ごせたり、人に対していっそう親切になれたりするものです。これも、自分のカルマ(善行)を意識しているからこそ生じる反応です。

つまり、カルマ(自分の行い)に対する「自分の意識」が健康を左右するわけです。

実は、こうした出来事は医療の現場でも少なくありません。たとえば、医師の患者に対する態度や、治療に対する患者の信頼感、医師と患者の間に存在するカルマが、薬の効果や治療効果を大きく左右する場合があります。強力な鎮痛薬であるモルヒネですら、患者の意識により薬効が左右されるケースがあるほどです。このように、薬そのものよりも患者の期待感や信念の方が、治療や薬効に大きく影響する事例はたくさんあります。

近代医学の父の一人として知られている、カナダ出身の内科医で医学教育者でもあるウィリアム・オスラー侯は、患者の信頼感や前向きな期待といった心理的な影響力が、患者の自然治癒力を著しく高めると語っています。つまり、希望的信念が早期の回復を促し、薬と同様、手術の成功も患者の希望的信念に依存する確率が高いということで、病の早期回復には楽観的態度と信念がもっとも重要であることを示唆しています。

カルマと人間の性

大半の人間は、善行をすれば気分が良くなり、悪事をはたらけば罪の意識や自責の念にさいなまれます。善行をしても人に恩を着せないよう配慮したり、悪事をはたらいても悪びれもせずに強がったりすることはできても、本能的に生じる「善行の気持ちよさ」や「悪事の気持ち悪さ」は避けられません。つまり、「行動は気分を左右する」し、最終的には「気分は健康を左右する」のです。

ですから、心身ともに健やかに生きるには、人に親切にし、慈愛を持って生き、善行を重ねるのが効果的です。逆に、悪意を持ったり悪事をはたらいたりして生きると、悪のカルマが蓄積して自分自身を苦しめ、最悪の場合は自らを死へと至らしめます。

具体例を挙げるのは避けますが、直近でも罪の意識から自ら命を絶ってしまった実例が複数あります。カルマは確かにこの世に存在しますが、より正確に言うと「カルマというシステムが実在しているわけではないが、人間の脳はカルマという概念に適応するようデザインされている」ということ。私たちはカルマから逃れられないのではなく、脳の性質や特性から逃れられないのです。

であれば、脳の性質や特性を受け入れ、うまく付き合っていくしかありません。

悪事をはたらいてげっそり痩せたり、病気になったり、自死を選択したりせず、心身ともに健康的に生きるためには、善行に努めて善のカルマを積み重ねるのが理想的です。

カルマの科学

カルマをもう少し科学的に分析してみましょう。

まず、カルマは「自分の行いを自覚する自意識」から生まれるものであることは、これまで説明した通りです。脳は、自分の行いを認知することでさまざまな反応を示します。

たとえば、気分が癒やされるような出来事を認知すると、脳はオキシトシン(愛情ホルモン)やセロトニン(安らぎホルモン)などを分泌し、気分が高まるような出来事や興奮するような出来事を認知すると、ドーパミン(やる気ホルモン)やエンドルフィン(脳内麻薬)などを分泌します。

逆に罪の意識や自責の念など、不快な感情や出来事を認知すると、コルチゾール(ストレスホルモン)やアドレナリン(非常事態ホルモン)、ノルアドレナリン(不安ホルモン)などが分泌されます。

これらのホルモンは心身のコンディションに直接的に影響し、健康を左右します。たとえば、オキシトシンやセロトニンが体内の抗体レベルを上昇させて免疫機能を整えたり、逆にコルチゾールやアドレナリンが抗体レベルを下げて疲労を生み、炎症を起こしやすくしたり……。これが「カルマの科学的な正体」です。

「意識」は、想像以上に人間のコンディションに大きく影響します。意識的な善行は、自分自身の脳内のコンディションを整える合理的な対策なのです。

イメージが体調を左右する

善のカルマを意識するとコンディションが整いやすくなるように、習慣的なプラス思考もまた心身の健康に大きく寄与します。プラス思考は免疫力を高めて自然治癒力を活性化し、私たちをより活発で精力的な行動へと導きます。

つまり、心や頭で描く映像やイメージが、心身に影響を与えるということです。たとえば、自分の体に期待している変化を、イメージや意識の力で実際に起こすことも可能です。イメージを描くことで免疫機能を高めたり、病気の症状を緩和したり。極端な話、イメージを描いたり意識を変えたりすることで、筋トレの効果を高めることさえできるのです。

しかし、それは同時に「ネガティブなイメージからは悪影響を受ける」ということでもあります。

ポジティブな思考を習慣にし、常にポジティブなイメージを作れば、心身ともにコンディションが整いやすくなります。そのために効果的なのが、善のカルマを積むこと。つまり、幸福ホルモンの分泌を促すような善業を積むことなのです。

がん患者の中には、自分の体の中の白血球を、神や国のために戦った伝説的な人物としてイメージした結果、症状が著しく緩和されたケースも報告されています。もちろん、この場合は必ずしも「イメージが症状を緩和させた」と断言はできませんが、「ポジティブ思考が病状を緩和する」のは医療現場で決して珍しいことではありません。実際に、ポジティブ思考やあきらめない気持ち、楽天的な思考でがんを克服したケースもあります。

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カルマを制する者は人生を制する

病気になっても、「自分は良くなる」「健康になれる」と楽観的態度で強い信念を持つと、早期回復につながりやすいのと同様、普段の暮らしにおいても楽観的でポジティブな思考を習慣にすると、健やかな日々を送れる確率が高まります。

手術においても、自分は死ぬと予想して手術を受ける患者は、死亡率が高いといわれています。ですから、医師は手術前に患者に対して手術成功の確信や、手術に対する積極的感情を持たせるよう工夫するのです。

悲観的予想は、薬でも手術でも悲観的な結果を招き、不幸を引き寄せます。医療だけに限らず、たとえば「体に悪い」と思って飲めば、ただの水でさえも毒になり得るのです。反対に、「体に良い」と思えば、ただの水が薬となる場合もあります。これを「プラセボ効果」「ノセボ効果」といます。科学的に証明されている、れっきとした科学です。

プラセボとノセボについては、「健康の秘訣は「思い込み」だった⁉ 心が体を生かす人体の神秘」にて詳しく解説しています。併せてご覧ください。