免疫力を低下させる「不眠」 ~不眠の原因と対処法~

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多忙さやストレスから、十分な睡眠が取れない人が増えている現代社会。

仕事や日常生活のストレス、生活習慣の乱れなどから、睡眠導入剤を服用しなければ睡眠を取るのが難しいという人も今では珍しくありません。

しかし、質の良い睡眠は、私たちの健康を守るために欠かせない大切な要素です。十分な睡眠すらも難しくなってしまった現代ストレス社会において、私たちは睡眠をどう捉えるべきなのでしょうか。

また、不眠のリスクをどのように克服すればいいのでしょうか。

今回は、不眠が免疫力に及ぼす影響とその原因、不眠症への具体的な対処法について解説します。

さまざまな不眠の種類

不眠症には、実はいくつかの症状があるのをご存知でしょうか?

本題に入る前に、まずは不眠症の概要について簡単に解説します。以下は不眠症の主な症状です。

  1. 入眠障害(寝つきが悪い)
    寝つきが悪く、布団に入ってから眠りに入るまでに長時間かかる状態です。入眠に時間がかかると、その後の睡眠が浅くなったり、夜中に目が覚めてしまったりする原因になります。

  2. 熟眠障害(眠りが浅い)
    眠っても熟睡できず、何度も目を覚ますことがあります。「中途覚醒」と表現されることも。眠りが浅いと、翌日には疲れが取れていない感じが残り、日中の集中力やパフォーマンスに悪影響を与えます。

  3. 早期覚醒(早朝に目覚めて二度寝ができない)
    朝早く目が覚めてしまい、その後二度寝ができない状態です。十分に寝たはずでも、早朝に目覚めてしまうことで、睡眠不足感を覚える場合があります。

不眠症が慢性化すると、ただの「寝不足」ではない深刻な状態となり、免疫力を低下させるなど健康への影響が大きくなります。日本では成人の30~40%が何らかの不眠症を抱えており、特に女性に多く見られます。また、成人の約5%は不眠症による服薬治療を受けており、もはや不眠症は国民病といえる状況にあります。

不眠の主な原因

不眠症の原因にはさまざまな要因が関与しています。以下は不眠症の主な原因です。

  1. ストレス
    仕事や人間関係、経済的な問題、ライフスタイルの変化などが原因となり、精神的なストレスが不眠の引き金となります。ストレスを感じると交感神経が活発になり、リラックスするのが難しくなります。

  2. 不規則な生活習慣
    夜更かしや昼夜逆転の生活が続くと体内時計が乱れ、質の良い睡眠を取ることが難しくなります。夜間の過度な飲食やカフェインの摂取も、生活リズムに悪影響を与える場合があります。

  3. 精神疾患
    うつ病や不安障害、パニック障害などを患っていると、リラックスして眠ることが困難になり、睡眠に深刻な影響を与える可能性があります。

  4. 神経疾患
    睡眠時無呼吸症候群やレストレス・レッグス症候群(むずむず脚症候群)、周期性四肢運動障害などの神経系の疾患も、不眠の原因となる場合があります。これらの疾患があると、寝ている間に体が不快感を覚えたり、呼吸が一時的に停止したりするため熟睡ができません。

  5. カフェインやアルコール、薬剤の副作用
    カフェインやアルコールの過剰な摂取や、薬の副作用が原因で不眠を発症する場合があります。カフェインは交感神経を刺激し、アルコールは一時的に眠気を引き起こすものの、脳を活性化させて睡眠の質を低下させるため、長期的には不眠の原因となります。

不眠の原因は人それぞれ異なりますが、生活習慣や精神的な要因が関わっているケースが多く見られます。また、一見すると不眠の症状に見えるものの、実は睡眠時無呼吸症候群や他の疾患が隠れている場合もあるため、症状の原因を誤認しないよう注意が必要です。

不眠の対処法

不眠症に適切に対処するには、まずその原因を正確に理解し、適切な対策を講じることが重要です。以下に、一般的な不眠の対処法を紹介します。

  1. 睡眠環境の見直し
    寝室の環境を快適に整えることで、不眠を解消する方法です。温度や湿度を適切に保ち、寝具を快適なものにすることで、より良い睡眠が得られます。また、静かな環境を作ったり、遮光カーテンなどで外の光を制御する方法もあります。

  2. 就寝前のリラックス習慣
    就寝前にリラックスする時間を作るのも、不眠の克服に効果的です。寝る前の1~2時間は、激しい運動や仕事の話を避け、静かな音楽を聴いたり、読書をしたり、軽いストレッチやヨガをしたりするのがおすすめです。

  3. 規則正しい生活
    睡眠時間を一定に保ち、規則正しい生活を送るのも、不眠を予防したり改善したりするのに必要なプロセスです。夜眠れない場合は、軽くジョギングをしたりスポーツジムで運動したりなど、日中に適度に活動するのがおすすめ。ちなみに、昼寝は短時間(20~30分程度)に留めるのが良いとされています。

  4. カフェインやアルコールの摂取を控える
    カフェインやアルコールは睡眠に影響を与えるため、就寝前数時間は摂取を避けましょう。カフェインはコーヒーやエナジードリンクだけでなく、以下の表に示す通り、さまざまな飲み物に含まれているので注意が必要です。

種類 カフェイン量(100mlあたり)
エナジードリンク 32~300mg
玉露 160mg
コーヒー 60mg
紅茶 30mg
ウーロン茶 20mg
煎茶 20mg
ほうじ茶 20mg
ココア 14mg
コーラ 10mg

【米軍採用】2分で寝れる睡眠導入法

「どうしても眠れない……」という方は、米軍で採用された「2分で寝れる睡眠導入法」を試してみてはいかがでしょうか。

この方法は、米国の著名な陸上競技のコーチであるロイド・バド・ウィンター氏が提唱した技術で、米軍にも採用されているほか、数多くのスポーツ選手にも支持されています。

ステップごとのやり方を紹介するので、ぜひ実践してみてください。

ステップ1
枕元の照明以外は消灯し、ベッドまたは布団の端に座る。電話の着信音やバイブレーションをオフにし、目覚まし時計を確認する。

ステップ2
顔の筋肉をリラックスさせる。しかめっ面を作ってから自然に緩める。舌が口の中に落ちるようにする。

ステップ3
顔から力が抜けたら、肩を重力に任せるよう、片側ずつ力を抜く。

ステップ4
肩の力を抜きながら自分の呼吸音を聞く。一呼吸ごとに胸をリラックスさせ、太ももと下肢の力を徐々に抜いて重力に任せる。

ステップ5
体がゆるい粘土の塊のように感じられたら、10秒間心を無にすること。頭に浮かんだ思考や雑念はそのまま流す。

ステップ6
心がすっきりしてきたら、次のどちらかのシナリオを思い浮かべる。
①澄んだ青空の下、静かな湖でカヌーに横たわっている
②暗い部屋の中で、ベルベットのハンモックに静かに揺られている。
視覚化が得意でなければ、10秒間「考えない、考えない ……」と頭の中で唱える。

ステップ7
ベッドまたは布団に横たわり、照明を消す。

健康的な暮らしに欠かせない「睡眠」

不眠症は免疫力を低下させ、心身の健康に悪影響を与えます。質の良い睡眠を得るためには、睡眠環境の改善やリラックスした就寝前の習慣、規則正しい生活が大切です。また、ストレスや不安が大きな原因となっている場合は、それを軽減するための対策も必要です。

今回は、スムーズな入眠に推奨されている、米軍でも採用されている睡眠導入法を紹介しました。睡眠の質を高めたい方は、不眠の対処法を参考に、本記事で紹介した睡眠導入法を試してみてください。

【参考書籍】
・Relax and Win: Championship Performance – Lloyd “Bud” Winter

【参考サイト】
e-ヘルスネット「不眠症」
INDEPENDENT「Tiktok ‘military sleep’ method for falling asleep in two minutes」