心が体を救う│現代医療と5Dの教え

すべて

皆んは「5D」という言葉をご存知でしょうか。

5Dは、「D」を頭文字に持つ次の5つの言葉を指します。

  • Dissatisfaction(不満)
  • Discomfort(不快)
  • Disease(病気)
  • Disable(不能)
  • Death(死)

これは臨床疫学でしばしば用いられる概念で、人は「Dissatisfaction(不満)」だと「Discomfort(不快)」になり、不快が重なると「Disease(病気)」になり、やがては「Disable(不能)」に陥り最後には「Death(死)」を迎える──という考え方です。

つまり、病気や不能、死など不健康な末路を避けるには「不満」や「不快」を取り除くことが重要であることを示しており、端的には「ストレスの有害性」を示しています。

実は病気に関わるすべてのメカニズムには、脳が深く関与しています。ストレスを感じるのは脳ですし、何より感情的に「不満」を覚えるのも「不快」を感じるのも脳だからです。

特定の物事に快を覚えるか不快を覚えるかは人によりますが、もしも不快を快に変えられたら、それはストレスを回避することになり、病気や死を遠ざけることにもつながります。

不快感を抱いたままの状態が長く続くと、人体はストレスにさらされ続けて精神的に落ち込み、体内に潜伏している菌の活動を促進させたり、体が炎症を起こしやすくなったりします。

愛する人の死が免疫機能を低下させることが、さまざまな研究により明らかになっていることからわかるように、精神的な落ち込みは人の免疫機能を低下させ、病気や死を引き寄せるのです。

つまり、あきらめや悲しみが死の原因になり得るということ。

不快を快に変えるのは容易ではありませんが、方法がないわけではありません。

不快を快に変える鍵は「マインドセット」

物事を悲観的に捉えたり、困難を乗り越えるのをあきらめたりした人の免疫機能は低下します。

一方、希望的信念を抱く人は、体内でガンマグロブリンやステロイド、エンドルフィンなどが分泌され、免疫力が高まり自己治癒能力を得ることも実証されています。

ちなみにガンマグロブリンとは、血液中に含まれるたんぱく質の一種で、主に免疫に関与する抗体です。

ステロイドも、免疫機能に関わる重要な役割を担うホルモンで、生命を維持するのに必要不可欠な物質です。

エンドルフィンは脳内で生成される神経伝達物質で、ストレスホルモンの影響を緩和します。「幸福ホルモン」とも呼ばれています。

さて、それでは「不快を快」に変えるには、どうすればいいのでしょうか。

実は、問題を抱えたときや困難に直面したとき、それらに対してどのような態度や姿勢で臨むか、どのような気分を作っていくか、そしてどのように対処し、その状況をどのように定義するかがとても重要です。

物事の捉え方や感じ方、マインドセットを変えることで、脳内のストレス物質や幸福ホルモンなどの分泌量が直接的に影響を受け、心身の健康を大きく左右するからです。

つまり、実体のない「思考」が、心身のコンディションや健康、ひいては人生の運命をも大きく左右するということ。

人間の思考や感情、気分などの「心の状態」は、我々が想像する以上に人体の健康状態に大きく関与し、運命を左右するのです。

ところで、PET(陽電子発光断層装置)を使用すると、思考や感情、気分などが変調したときに、人間の脳の中で何が起こっているのかを観測できます。

PETでは脳の代謝や血流をスキャンして画像出力することができ、さまざまな実験において「感情により脳がどのように反応するのか」が検証されています。

精神医学や心理学の分野で役立っているこれらの研究は、愛情や親密度、一体感といったポジティブな感情が、権力欲や独占欲といった欲求と対極的な抗体を持っていることを示唆しています。

病気のメカニズム

病気や疾患は、体調不良を引き起こす直接的な原因というより、むしろ体の免疫力が低下することで発症するため、「免疫力の低下」が体調不良の直接的な原因と考えることができます。要するに病気は「原因」ではなく、免疫力が低下した「結果」であるということです。

たとえば、コルチゾールやカテコールアミンといったいわゆるストレスホルモンの過剰な分泌は、動脈を傷めたりコレステロールを蓄積させたりし、心血管疾患のリスクを高めます。

この場合、体調不良の直接的な原因は心血管疾患ではなく、ストレスホルモンを過剰に分泌させているメンタルや思考、あるいは環境などです。

ストレスホルモンが慢性的に高いレベルで分泌され続けると、これまで外敵の侵入や体内の炎症や腫瘍の発生から守ってくれていた抗体やナチュラルキラー細胞の働きが妨げられ、結果としてさまざまな病気を招きやすくなります。

つまり病気を予防するには、慢性的なストレスを解消して高い免疫力を獲得するのが正攻法なのです。

免疫力を高めて病気を避けるために必要なこと

体の不具合だけを治そうとする現代医療は、対症療法が主なアプローチであり、多くの慢性疾患を根治へ導くのが困難です。

そして、病気の多くは病人の感情や行動に大きな影響を及ぼし、失望感を生んだり圧倒されたり、時には最悪の事態を想像させたりすることもあります。

また、喫煙や飲酒、過食、運動不足といった行動につながる場合も。

こうしたストレス反応が、体調の回復や治癒をいっそう困難にしてしまう可能性があります。

さて、現代人には「多くの病気の原因は細菌やウィルスであり、治療には薬の投与が必要である」と考えている方が多いようです。

しかし、健康障害を引き起こす多くの原因は、身体機能の統制不良やバランスの乱れなどによるもので、各種ホルモンなど神経化学物質の過剰分泌や不足が影響していることを忘れてはいけません。

心身ともに健康でいるためには、ストレスとどう向き合うか、どう対処するかがとても重要です。

たとえば社会的援助が不十分でストレスが蓄積すると、体内のバランスが簡単に崩れやすくなり、病気に対する抵抗力が下がってしまいます。

逆に、社会的援助が十分だったり、周りからサポートしてもらったりすると、病気を遠ざけたり健康状態も改善しやすくなります。

免疫力を高めて病気を避けるには、「ストレスとどう向き合い、どう対処するか」とともに、ストレスを生まれない環境づくりを工夫することが大切です。

 

【参考サイト】
Just in Time Medicine
PubMed「Brain activity during transient sadness and happiness in healthy women」
PubMed「A differential neural response in the human amygdala to fearful and happy facial expressions」
WCRF/AICR